ほうとうと山梨県内
ほうとうと山梨県内
前記の通り、山梨県内では、「ほうとう」はあくまで「ほうとう」であって、一般に言う「うどん」とは異なるものとして認識している(名古屋人の「きしめん」に対する意識と類似するものがある)。粉食文化の浸透から、山梨県ではほうとう以外にも、夏食べる冷麦を「おざら」、冬食べるうどんを「ゆもり」と特に呼ぶことがある。
山梨県内ではほうとうにかぼちゃを入れることが多く、全国的に見られる冬至のかぼちゃのときにもほうとうで食する。
かつては麺を打つところから家庭で行い、農家の労働力でもあった主婦にとって調理法が簡易であることから大家族の食を賄うことができる日常食として食された。麺の加減や煮込む具材を応用した自己流の作り方があり、家々毎に「おふくろの味」の個性表現をすることができた。日常食としての「ほうとう」は麺よりも野菜の量が多く、対して小麦粉を消費する「うどん」は特別な日(モノビ)や来客時に振舞われる贅沢な料理であると意識されており、両者の区別は明確であった。
戦後には高度経済成長に伴う産業構造の変化で農業が衰退し、米食が一般化すると日常食としての地位は下がる。現在でも山梨県地方においては献立レパートリーのひとつとして食されつづけているが、スーパーマーケットにおいて固形出汁や既製品の味噌をはじめ、ほうとう向けの幅広麺が販売されていることから自家用に麺を打つことも少なくなり、観光食ほうとうの影響も受け、製法や味も画一化されている傾向にあり、日常食としての在り方は変化している。
現在では外食産業としてほうとうを扱う店が数多くあり、「奈良田本店」のように一般的なほうとうのみを扱う店、「小作」や「みさか路」のように一般的なほうとうのほか、小豆ぼうとう(こなぼうとう)や汁のベースにコチュジャンなどを使用したもの、また家庭では通例ほうとうに入れない牡蠣やスッポン、カニを入れる店など、多彩である。
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